・AMD Athlon 5350 2.05GHz Socket AM1 (FS1b) – Amazon.co.jp
・ASUSTeK 「AM1I-A」 Socket AM1用 Mini-ITXマザーボード – Amazon.co.jp
・ASRock Socket AM1用マザーボード「AM1B-M 」 – Amazon.co.jp
・MSI 「AM1I」 Socket AM1用 Mini ITXマザー – Amazon.co.jp
先日発売が開始されたAMDの新しいプラットフォーム「ソケット版Kabini (Socket AM1)」の最上位CPU「Athlon 5350 2.05GHz」のパフォーマンスを検証していく。
- 1. パッケージ及び付属品一覧
- 2. Socket AM1とは?
- 3. Athlon 5350について
- 4. CPUリテールクーラー
- 5. 3DMark 06
- 6. 3Dmark Vantage Perfomance
- 7. 3DMark Vantage Extreme
- 8. 3DMark11 Perfomance
- 9. Cinebench R11.5
- 10. Cinebench R15
- 11. OCCT Power Supply Test CPU温度
- 12. 消費電力
- 13. まとめ
- 14. ・安価な2台目のPCに最適
- 15. FM2の安価なCPUより速い、しかしオンボードは遅い
- 16. 組み込みを意識したマザーが多い
- 17. ・将来性がある?
パッケージ及び付属品一覧
パッケージは今まで発売されたリテールクーラー入りのパッケージの中では最小のサイズで、IntelのCore i3-2120TやPhenom II X6 1090Tのパッケージよりも小さい。 (画像2枚目参照)
<付属品一覧>
・CPU用リテールクーラー
・CPU本体
・取扱説明書
CPU用のリテールクーラーはSocket AM1 (FS1b)の専用品となっており、過去のソケット式のリテールファン(AM1/2/AM3など)は使い回しが効かない仕様になっている。
Socket AM1とは?
・AMD,ソケット版Kabiniベースの「AM1」プラットフォームを発表。「Athlon」「Sempron」ブランドで展開 – 4Gamer.net
・AMD,SoCになった新世代APU「Temash」「Kabini」を正式発表。Jaguar+GCNとなったそのアーキテクチャを丸裸にする – 4Gamer.net
Socket AM1 (FS1b)とは簡単に説明するとマザーボードにCPUをオンボードとしてリリースしていたコードネーム「Kabini」をソケット方式に切り替え、CPUの交換が可能になったプラットフォームである。
AM1のCPU内には従来のノースブリッジ、サウスブリッジが1つにまとめられており、マザーボード上に不必要なチップを減らすことにより、プラットフォームを全体的に安価に提供できるという強みがある。
詳しくは4GamerのAM1プラットフォーム発表の記事や、Kabiniのアーキテクチャー解説記事を参照願いたい。
Athlon 5350について
ソケット | Socket AM1 (FS1b) |
周波数 | 2.05GHz |
コア数/スレッド数 | 4コア/4スレッド |
L2キャッシュ | 2MB |
内蔵GPU | Radeon R3 Graphics ※HD 8400 (SP数:128基、ROP/TMU数:16、Bus:128bit、GPU Clock:1850MHz、Memory:800Hz) |
DirectX | 11.1 |
対応メモリ | DDR3-1600 シングルチャンネル |
TDP | 25W |
製造プロセス | TSMC 28nm |
販売価格 | 6,000円~7,000円 |
今回検証した「Athlon 5350」というCPUは周波数が2.05GHz、4コア4スレッド、Radeon R3 Graphicsを内蔵したCPUとなっており、メモリはDDR3-1600 シングルチャンネル、L2キャッシュ2MB、TDP 25Wという仕様になっている。
メモリコントローラーがシングルチャンネル、動作周波数が2.05GHzという辺りからローエンド向けであることは理解して頂けるかと思う。
CPUリテールクーラー
Socket AM1 (FS1b)のリテールクーラーは両端をプッシュピンで止める仕様となっており、従来のAMDソケットの固定方式とは異なる。
その為、従来のソケットのCPUクーラーを流用することは出来ない。
また、そのプッシュピンの固定方式だが取り付け方法が解説されておらず、初心者には非常に分かりづらい仕様であった。
撮影の都合上動画撮影は行えなかったが、以下記事にて取り付けまでの過程を撮影したため参考にして頂きたい。
・AMD Socket AM1 (FS1b)のリテールクーラーの取り付け方 – Re;con-ReviewDays
ではおまちかねのベンチマークだ。
3DMark 06
・3DMark06 スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
Athlon 5350 2.05GHz R3 Graphics |
Core i3-2120T 2.6GHz GT430 |
Atom Z3740 1.3GHz GMA Gen7 |
Celeron 1007U 1.5GHz GMA |
A4-5300 3.4GHz HD7480D |
|
Score | 3850 | 7874 | 0 | 3157 | 4613 |
SM2.0 | 1319 | 3367 | 689 | 1057 | 1929 |
SM3.0 | 1537 | 2947 | 825 | 1382 | 2332 |
CPU | 2773 | 3106 | 1812 | 1579 | 1049 |
URL | URL | URL | URL | URL | URL |
※CPUスコアー順
Athlon 5350は4コア4スレッド2.05GHz、Radeon R3 Graphicsといった仕様のCPUの為、パフォーマンスが近いCore i3-2120T、Phenom II X2 555 BE、Atom Z3740、Celeron 1007Uの4つでCPUスコアー順にして比較した。
現状一番対比が気になるBayTrail-TのAtom Z3740 1.3GHz (4C4T/SDP 2W)だが、CPU、GPUのパフォーマンスはAthlon 5350 2.05GHz (4C4T/TDP 25W)の圧勝となっており、周波数、TDPを考えると当然の結果となった。
また、1世代前とはなりますが、IntelのオンボードCPUのCeleron 1007U (2C2T/1.5GHz/TDP17W/IvyBridge)と比較すると、CPUパフォーマンスは約1.8倍、GPUパフォーマンスは1.3倍程度となっており、想像以上にGPUパフォーマンスの伸び悩みが気になった。
恐らくAthlon 5350のGPUドライバーの最適化がまだ途上のためであろうと思われる。
意外だったのがSocket FM2用のA4-5300 3.4GHz (2C2T/TDP 65W)で、2コア2スレッドだが、3.4GHzというクロックのためAthlon 5350より上をいくのでは?と想像していたが、CPUパフォーマンスがAthlon 5350のほぼ3分の1となっており、目を疑う結果となった。
しかし、GPUパフォーマンスはさすがにデュアルチャンネルということも有り、Athlon 5350の1.5倍強のパフォーマンスを発揮している。
3Dmark Vantage Perfomance
・3DMark Vantage Perfomance スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
Athlon 5350 2.05GHz R3 Graphics |
Core i3-2120T 2.6GHz GT430 |
Celeron G1820T 2.4GHz GMA |
A4-5300 3.4GHz HD7480D |
Celeron 1007U 1.5GHz GMA |
|
Score | 2136 | 4449 | 2707 | 2530 | 1463 |
Graphics | 1753 | 3847 | 2260 | 2212 | 1209 |
CPU | 6175 | 8381 | 6672 | 4449 | 3940 |
URL | URL | URL | URL | URL | URL |
※CPUスコアー順
Atom Z3740を比較対象に入れる予定だったがオンボードVGAのパフォーマンスが低く、Vantage Perfomance/Extremeともに完走することが出来なかったため、急遽Celeron G1820T 2.4GHz (2C2T/TDP 35W/Haswell)を比較対象として追加している。
CPUパフォーマンスのみで見るとi3-2120T << Celeron G1820T << Athlon 5350 << A4-5300 << Celeron 1007Uといった並びとなった。
元々シングルスレッドで大きく性能を伸ばしやすい3DMarkの特徴が現れた結果となっており、Athlon 5350のCPUパフォーマンスは約6,000円程度で購入できる2コア2スレッドのCeleron G1820Tよりも低い結果となった。
また、GPUパフォーマンスについてもAthlon 5350はシングルチャンネルのためか、デュアルチャンネルのA4-5300よりもパフォーマンスが劣っており、更にはCeleron G1820Tよりも劣る結果となった。
恐らくドライバの最適化の問題もあるだろうが、GPUパフォーマンスでほぼ同じ価格帯で投入されているCeleron 1820Tに負けてしまうのは残念でならない。
3DMark Vantage Extreme
・3DMark Vantage Extreme スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
Athlon 5350 2.05GHz R3 Graphics |
Core i3-2120T 2.6GHz GT430 |
Atom Z3740 1.3GHz GMA Gen7 |
A4-5300 3.4GHz HD7480D |
Celeron 1007U 1.5GHz GMA |
|
Score | 783 | 1901 | 885 | 983 | 504 |
Graphics | 749 | 1825 | 847 | 945 | 481 |
CPU | 6128 | 8638 | 6608 | 4292 | 3970 |
URL | URL | URL | URL | URL | URL |
※CPUスコアー順
※Atom Z3740はパフォーマンス不足で完走しなかったため、Celeron G1820Tを追加。
CPUパフォーマンスのみで見るとi3-2120T << Celeron G1820T << Athlon 5350 << A4-5300 << Celeron 1007Uといった並びとなった。
Vantage ExtremeでもAthlon 5350のGPUパフォーマンスがCeleron 1820TやA4-5300に劣る結果となっており、パフォーマンスは奮わなかった。
3DMark11 Perfomance
・3DMark11 Perfomance スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
Athlon 5350 2.05GHz R3 Graphics |
Core i3-2120T 2.6GHz GT430 |
A4-5300 3.4GHz HD7480D |
Atom Z3740 1.3GHz GMA Gen7 |
Celeron 1007U 1.5GHz GMA |
|
Score | 709 | 1133 | 658 | 210 | 367 |
Graphics Score | 627 | 1017 | 583 | 179 | 314 |
Physics Score | 2264 | 3254 | 1922 | 1338 | 1601 |
Combined Score | 676 | 1011 | 646 | 225 | 420 |
URL | URL | URL | URL | URL | URL |
※Physics Score (CPU)スコアー順
3DMark 11はCPUスコアーがPhysics Scoreとなっているため、Physics Scoreを中心に見て頂きたい。
スペックが近いCPUの性能順に並べるとi3-2120T >> Athlon 5350 >> A4-5300 >> Atom Z3740 >> Celeron 1007Uとなった。
3DMark06、VantageまではAthlon 5350はA4-5300以下となることも多かったが、ここに来て4コア4スレッドを活かせたのかAthlon 5350 > A4-5300といった形となった。
Cinebench R11.5
・Cinebench R11.5 スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
左:OpenGL Score
右:CPU Score
Athlon 5350 2.05GHz R3 Graphics |
Core i3-2120T 2.6GHz GT430 |
A4-5300 3.4GHz HD7480D |
Celeron 1007U 1.5GHz GMA |
Atom Z3740 1.3GHz GMA Gen7 |
|
OpenGL (FPS) |
13.36 | 24.96 | 21.2 | 9.95 | 6.16 |
CPU (pts) |
2.04 | 2.51 | 1.38 | 1.22 | 1.22 |
URL | URL | URL | URL | URL | URL |
※CPUスコアー順
Cinebench R11.5は既にR15が配布されている為、R15は64bit OSのみサポートとなる。Atom Z3740を搭載するVivoTab Note 8では動作不可の為、R11.5も敢えて検証した。
Cinebench R11.5/R15はOpenGL (GPU)とCPUスコアを検証できるベンチのため、今回はCPUスコアーを中心に見て頂きたい。
CPUスコアー順にするとi3-2120T >> Athlon 5350 >> A4-5300 >> Celeron 1007U >> Atom Z3740となっており、ほぼコア、スレッド数、CPUクロックの高い順に並ぶ結果となった。
Cinebench R11.5でもAthlon 5350はCore i3-2120Tのパフォーマンスには及ばずも、同価格帯に近いA4-5300 3.4GHz (2C2T/TDP 65W)や、タブレット系に搭載されることの多いBayTrail-TのAtom Z3740 1.3GHz (4C4T/SDP 2W)を超えるパフォーマンスを発揮した。
Cinebench R15
・Cinebench R15 スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
左:OpenGL Score
右:CPU Score
Athlon 5350 2.05GHz R3 Graphics |
i7-3960X 3.3GHz GTX670 2GB Mini |
MSI GE40 2OC-012JP i7-4702MQ 2.2GHz GTX760M |
Let’s Note SX2 i5-3320M 2.6GHz HD4000 |
Celeron G1820T 2.4GHz GMA |
|
OpenGL (FPS) |
13.15 | 107.33 | 81.34 | 0 | 17.06 |
CPU (cb) |
102 | 901 | 513 | 230 | 174 |
URL | URL | URL | URL | URL | URL |
※Cinebench R15は64bit環境でしか動作せず、Atom Z3740を搭載するVivoTab Note 8では動作しなかったため、Celeron G1820Tを追加している。
Cinebench R15が登場したばかりのため比較検証するデータが少なくのはご了承頂きたい。
比較データーが少なく、明確なスコアー比較は難しいが、i7-3960X >> i7-4702MQ >> i5-3320M >> G1820T >> Athlon 5350といった結果となった。
約5,000円ほどで購入可能な2コア2スレッドのCeleron G1820T 2.4GHzよりもAthlon 5350パフォーマンスは低くなっていた。
OCCT Power Supply Test CPU温度
・OCCT – ocbase.com
OCCT 4.4.0を使用し、OCCT Power Supply Testを実行しCPUの温度を検証した。
ソフトウェア読みとなるため、大幅な誤差が生じている可能性があることをご了承いただきたい。
また、Socket AM1用の他社製クーラーは発売されておらず、リテールクーラーでの検証となっている。
アイドル時 | 負荷時 | |
CPU0 | 約25度 | 約48度 |
CPU1 | 約24度 | 約62度 |
CPU2 | 約28度 | 50度 |
※室温24.5度で検証
ソフトウェア読みのためコアによって温度が大きく変わっているが、CPU1が一番動作時に近い温度を示していた。
アイドル時約24度、負荷時約62度と言った結果となっており、リテールクーラーを使用している割には非常に低発熱のように感じた。
というのも、リテールクーラーは5cmファンを搭載した簡易的なクーラーとなっており、非常に貧相で冷えそうにない見た目だったからだ。
消費電力
・OCCT – ocbase.com
消費電力の計測にはOCCT 4.4.0のLinpackを使用し、計測機器はwatts up? Proを用いた。
消費電力 | |
アイドル時 | 21W |
負荷時 | 64W |
アイドル時は4コアのCPUとは思えぬ消費電力の低さだが、負荷時は60W台まで上昇しているのが気になった。
以前検証した環境ではCore i3-2120T + GeForce GT430の環境でアイドル時38W、負荷時76Wという結果だったためパフォーマンスを考えるともう少し負荷時の電力を抑えていただきたかったところだ。
まとめ
・安価な2台目のPCに最適
「アイドル時の消費電力の低さ、発熱の低さ、拡張性の高さ」この3つの良さがまさに2台目のPCに最適だと言えるだろう。
パフォーマンスも必要十分を満たしており、最新のSATA3やUSB3.0と言った機能を統合できており、DDR3やPCI Express 2.0×4と言った既存のパーツを再利用できるのも強みである。
FM2の安価なCPUより速い、しかしオンボードは遅い
Socket FM2の安価なCPU「A4-5300」と性能を比較したが、結果的にはCPUがAthlon 5350が速く、オンボードグラフィック性能ではA4-5300側が勝利する形となった。
Socket AM1のCPUは全て「メモリーコントローラがシングルチャンネル仕様」となっており、AMDのオンボードグラフィックはメモリ帯域に大きく依存しているため、グラフィック周りに関してはA4-5300に完敗する形となった。
CPUもオンボードグラフィックも性能が良いのがほしいという方にはSocket FM2を購入すべきだし、グラフィック性能は要らず、とにかく安価にCPU性能をという方にはSocket AM1をお勧めしたい。
組み込みを意識したマザーが多い
組み込みの製品を意識した製品が多く、AM1のマザーボードはシリアルポートやプリンターポートを備えるマザーボードも存在する。
詳細は以下サイト様をご覧頂きたい。
・AMD「AM1」プラットフォームの一般的ではないけどちょっと良い所? – ポンバシ第三艦橋日誌
レガシーな財産を活かす際には有力な選択肢になるといえるだろう。
・将来性がある?
AMDはSocket AM1のプラットフォームで「CPUを交換できるため、将来性がある」と言ったアピールをしていたが、現状Athlon 5350より上位のCPUを発売する噂はなく、倍率固定を解除したCPUなどの発売の予定も一切ない。
次の世代でもAM1のマザーボードは利用できるのか?といった情報もない状態で、「CPUを交換できるため、将来性がある」と言うのは如何なものだろうか。
・AMD Athlon 5350 2.05GHz Socket AM1 (FS1b) – Amazon.co.jp
・ASUSTeK 「AM1I-A」 Socket AM1用 Mini-ITXマザーボード – Amazon.co.jp
・ASRock Socket AM1用マザーボード「AM1B-M 」 – Amazon.co.jp
・MSI 「AM1I」 Socket AM1用 Mini ITXマザー – Amazon.co.jp
コメントを書く