RAM6GB/ROM128GBのGALAXY S8+はExynosを搭載する韓国版(SM-G955N)とSnapdragon 835を搭載する香港版(SM-G9550)の2つがありますが、2機種を適当に比較してみました。
色が選べる
左:韓国版
右:香港版
韓国版(SM-G955N)では色が「ミッドナイトブラック」1色のみとなりますが、香港版(SM–G9550)では「オーキッドグレイ、ミッドナイトブラック、コーラルブルー、マップルゴールド」の4色から選ぶことが可能です。
CPUが異なる
左:韓国版
右:香港版
韓国版ではExynos 8890を採用しているものの香港版ではSnapdragon 835(MSM8998)を採用。
国別 | 韓国版 | 香港版 |
SoC | Exynos 8895 | Snapdragon 835(MSM8998) |
コア数 | 8コア(4+4) | 8コア(4+4) |
メインコア | Exynos M1 2.3GHz | Kyro 280 2.45GHz |
省電力コア | Cortex-A53 1.7GHz | Kyro 280 1.9GHz |
GPU | Mali-G71 MP20 | Adreno 540@670MHz |
モデム | 下り1Gbps(5CA/Cat16) 上り150Mbps(2CA/Cat13) |
Snapdragon X16 Modem 下り1Gbps(4CA/Cat16) 上り150Mbps(2CA/Cat13) |
製造プロセス | Samsung FinFET LPP 14nm | Samsung FinFET LPE 10nm |
参考URL | URL | URL |
2つとも同じコア数の8コア、モデムの性能などもスペック上はほぼ同じ。異なるのはメイン、省電力コアのクロックやコア分け、GPU、製造プロセスと言った所でしょうか。
- Samsung Galaxy S8+ Exynos 8895 vs Snapdragon 835 benchmark comparison – GSMArena
- Battle of the S8 chipsets: Snapdragon 835 vs Exynos 8895 – phoneArena.com
各レビューサイトでは殆どが”若干”Exynos側の方がパフォーマンスが高いという結果が出ておりますが、消費者側が体感で感じられることはないだろうといった形。
韓国版、香港版2機種使った私から言わせていただくと「確かにExynos版の方が高負荷時(ゲーム、SNSなどのマルチタスク)に強い」と感じられることは時々あったものの、殆ど差はなく「ゲームの最適化が進んでいるSnapdragon 835の方がある意味有利」だと思います。
例えばIngressの場合、ポータルをタップする際にポータルへズームする動作があるのですが、Exynos版では30FPS出ていたものが、そのズーム時20FPS迄落ちてしまっていました。
しかしSnapdragon 835ではどんな動作をさせてもほぼ30FPSを維持できており、ゲームによるAdrenoの最適化が影響しているのではないかと思えるほど。
発熱に関して
発熱は全体的に製造プロセスで劣るExynos 8895(14nm)の方が大きく、充電中や高負荷時(Ingress)でも本体裏が若干温かくなる程でした。
対するSnapdragon 835(10nm)は製造プロセスがさらに進んでいる影響か、発熱は殆どなく、高負荷時でも本体が発熱しているなと感じられることは殆どありません。
恐らくですが、Ingressプレイ時にExynosがコマ落ちしていたのは発熱の影響があり、CPU/GPUのクロックの制御があったのかもしれません。
バッテリー持ち
- Samsung Galaxy S8 and S8+ battery life test result is out – phoneArena
- Galaxy S8 battery life test, Snapdragon vs Exynos edition: a familiar tale – phoneArena
韓国版、香港版共に同じ3500mAhのバッテリーを搭載しているものの、CPUがExynos 8895、Snapdragon 835(MSM8998)となっているため若干バッテリーの持ちが異なります。
上記レビューサイトではS8無印でExynos版の方が10%バッテリーの駆動時間が長いと結果が出ているようです。
当方が比較しているのはS8+で、しっかりとベンチマークを行っているわけではないため一概に言えませんが「個人的にはS8+はSnapdragon 835版の方が持ちが良い」と感じます。
シャッター音の違い
韓国版は日本版と同様に「シャッター音が鳴る」設定となっており、カメラアプリからもON/OFFは不可となっています。
香港版は「シャッター音が鳴らない」設定が可能であり、本体の音量設定でON/OFFが可能です。
言語について
韓国版、香港版共に初めから言語に「日本語」が用意されており、ほぼ完全に日本語化が可能です。
但し韓国版はキャリアから販売されているSIMフリー版となり、Wi-Fiアプリや一部キャリアアプリ類は韓国語での提供となります。尤も使わないので即削除で問題はありません。
GPSについて
GPSは全体的にSnapdragon835の方が追従性が良く、トンネルに入った際の復帰も早いように感じます。
逆にExynos版は追従性は悪くないものの、トンネルに入って出た瞬間の復帰が遅く、地図アプリ、位置情報ゲームなどには向いていないように感じました。
ですので、GPSで言えば圧倒的にSnapdragon 835の方が優位性はあると思えます。
ネットワークについて
韓国版は国内ではCA対応バンドに合うものがないためか、サービスモードを見ていてもCAしている様子はありませんでした。
またキャリアから販売されているSIMフリー版の為、ネットワーク周りはキャリアに最適化されている影響か、APN周りの設定もAOSPのAndroidと比べると変更されており、分かりづらくLTEに接続されにくいように感じました。(1時間経ってもLTEに繋がらず3Gのまま)
若干韓国版はネットワーク周りに難ありのような気がします。
また、韓国では通信ピクトが4Gではなく「LTE」となり、docomo向けの国内版とほぼ同じ表記となります。
例えばFDD B19 10MHz幅で接続している場合は「LTE」表記、FDD B3 20MHz幅で接続できている場合は「LTE+」となり、CAしていないにも関わらず「LTE+」と表記されてしまい、分かりにくいです。
香港版は国内でCA出来るようで、FDD B1-3の組み合わせのみ確認しています。
また韓国版とは違い、こちらはAPN設定などもAOSP同様となっているため分かり易く、即4Gで接続することが出来ました。
ネットワーク周りで言えば圧倒的にSnapdragon 835の方が良さそうです。
まとめ
Exynos(韓国版)じゃないとダメという方以外はSnapdragon 835(香港版)一択でしょう。
パフォーマンス面以外はほぼ全てSnapdragon 835が圧倒しており、シャッター音からネットワーク、GPS周り、バッテリーの持ちで優位性があるのは間違いなさそうです。
やはりSnapdragon向けの最適化やモデムチップの統合のメリットは大きく、それらに適さないExynosは力業で解決を図っているため、その辺りがデメリットとして働いているかのように感じます。
正直な所、シャッター音の問題さえなければ韓国版で十分だったのですが、国内同様の仕様となっている点が残念でなりません。
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