・AMD FX-9590 Black Edition 8Core CPU Socket AM3+, 4.7GHz, 16MB, 220W – Amazon.co.jp
昨年7月にAMDは商用初の5GHzを達成した8コアCPU「FX-9590」を発表し、話題となった。
今回はおでん氏の御厚意により、CPUとマザーセットをお借りする機会を得られたため、詳しく検証を行った。
パッケージ及び付属品一覧
<付属品一覧>
・CPU本体
・AMD FXロゴシール
・取扱説明書
Black Edition (倍率ロックフリー)となるため、CPU用のリテールクーラーは付属しない。
そのせいもあってか非常に無駄のないパッケージに仕上がっている。
仕様について
コア数 | 8コア |
定格動作周波数 | 4.7GHz |
Turbo Core時 | 最大5.0GHz |
ソケット | Socket AM3+ (942) |
L2キャッシュ | 2MB×4 |
L3キャッシュ | 8MB |
倍率ロック | ロックフリー |
対応メモリ | DDR3-1866 |
TDP | 220W |
コア名 | Vishera |
製造プロセス | Global Foundries 32nm SOI |
・TDPは衝撃の220W。最大5GHz駆動のCPU「FX-9590」,そのスペックが明らかに – 4Gamer.net
CPUに関する詳細については4GamerのFX-9590発表時の記事に掲載されており、従来のCPUとの差を確認したい場合は4Gamerの記事を見て頂きたい。
次はおまちかねのベンチマークだ。
今回よりスコアー比較を明確に行いやすくするために、ベンチマーク毎にページにスコアー一覧表を設けた。
現状はデータを追加しつつ、表示方法を見やすく出来るように調節している所なので、お見苦しい所があるか、ご了承して頂きたい。
3DMark 06
・3DMark06 スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
FX-9590 4.7GHz GTX650 |
i7-2600K 3.4GHz HD5970 |
Phenom II X6 1090T 3.2GHz HD5970 |
i7-3520M 2.9GHz HD4000 |
A10-6800K 4.1GHz HD8670D |
|
Score | 16821 | 24389 | 20152 | 6600 | 8058 |
SM2.0 | 6392 | 8934 | 6952 | 2193 | 3021 |
SM3.0 | 6825 | 12531 | 10396 | 2763 | 3297 |
CPU | 7500 | 6436 | 5756 | 4186 | 3640 |
URL | URL | URL | URL | URL | URL |
※CPUスコアー順
注目して頂きたいのはCPUスコアー。
8コア8スレッド4.7GHzと言った性能を発揮し、Core i7-2600K 3.4GHz (4コア8スレッド)よりもパフォーマンスが16%高いスコアーをマークしている。
3Dmark Vantage Perfomance
・3DMark Vantage Perfomance スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
FX-9590 4.7GHz GTX650 |
i7-4770K 3.4GHz HD4600 |
i7-2600K 3.4GHz GTX480 |
Core i7-3520M 2.9GHz HD4000 |
A10-6800K 4.1GHz HD8670D |
|
Score | 12380 | 6472 | 20462 | 4036 | 5611 |
Graphics | 10644 | 5119 | 19150 | 3323 | 4994 |
CPU | 24236 | 31239 | 25753 | 11332 | 8908 |
URL | URL | URL | URL | URL | URL |
※CPUスコアー順
3DMark06時に比べ、FX-9590の優位性は殆ど消えてしまっており、CPUスコアーはi7-4770K >>> i7-2600K = FX-9590と言ったスコアーとなってしまっている。
同社が出しているグラフィック内臓のAPU「A10-6800K」とのパフォーマンス差は約3倍となっており、CPU性能に重点を置く方はやはりA10-6800KよりもAMD FX系のCPUを購入したほうが良いだろう。
3DMark Vantage Extreme
・3DMark Vantage Extreme スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
FX-9590 4.7GHz GTX650 |
i7-4770K 3.4GHz HD7770 |
i7-2600K 3.4GHz GTX560Ti |
Phenom II X6 1090T 3.2GHz HD5970 |
A10-6800K 4.1GHz HD8670D |
|
Score | 6131 | 7090 | 9473 | 12712 | 2355 |
Graphics | 5900 | 6814 | 9167 | 12562 | 2267 |
CPU | 23932 | 30836 | 25878 | 16454 | 8968 |
URL | URL | URL | URL | URL | URL |
※CPUスコアー順
こちらもVantage Perfomance同様に、3DMark06で見られたFX-9590の優位性は無く、CPUスコアーはi7-4770K >>> i7-2600K = FX-9590と言ったスコアーとなってしまっている。
Vantage ExtremeはプロファイルがExtremeとなったことにより、GPU負荷が上昇したのがVantage Extremeとなるため、3DMark Vantage系ではAMD FX-9590の性能はフルに発揮できていない可能性がある。
3DMark11
・3DMark11 スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
FX-9590 4.7GHz GTX650 |
i7-3930K 2.2GHz GTX580 SoC |
i7-4770K 3.5GHz HD 7770 1GB |
i7-2600K 3.4GHz GTX480 |
A10-6800K 4.1GHz HD8670D |
|
Score | 2996 | 7536 | 4286 | 5627 | 1454 |
Graphics Score | 2748 | 6899 | 3880 | 5334 | 1324 |
Physics Score | 7892 | 14147 | 10160 | 7640 | 3694 |
Combined Score | 2393 | 7474 | 3964 | 5728 | 1240 |
URL | URL | URL | URL | URL | URL |
※Physics Score (CPU)スコアー順
3DMark 11はCPUスコアーがPhysics Scoreとなっているため、Physics Scoreを中心に見て頂きたい。
スペックが近いCPUの性能順に並べるとi7-3930K >> i7-4770K >> FX-9590 >> i7-2600K >> A10-6800Kとなった。
3DMark Vantage Perfomance/Extremeと近い性能順となっており、やはりAMD FX-9590はCore i7-2600Kとほぼ同じ性能、それ以上に近いのかもしれない。
Cinebench R11.5
・Cinebench R11.5 スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
左:OpenGL Score
右:CPU Score
FX-9590 4.7GHz GTX650 |
i7-3960X 3.3GHx GTX670 2GB Mini |
i7-2600K 3.4GHz GTX560Ti |
Phenom II X6 1090T 3.2GHz | A10-6800K 4.1GHz HD8670D |
|
OpenGL (FPS) |
58.7 | 48.85 | 58.7 | 61.9 | 33.96 |
CPU (pts) |
7.87 | 10.35 | 7.87 | 4.37 | 2.64 |
URL | URL | URL | URL | URL | URL |
※CPUスコアー順
Cinebench R11.5は既にR15が配布されている為、配布が終了しているが過去の検証データを持ち合わせているため敢えて検証した。
Cinebench R11.5/R15はOpenGL (GPU)とCPUスコアを検証できるベンチのため、今回はCPUスコアーを中心に見て頂きたい。
CPUスコアー順にするとi7-3960X >> FX-9590 = 2600K >> Phenom II X6 1090T >> A10-6800Kとなっており、ほぼコア、スレッド数の多い順に並ぶ結果となった。
Cinebench R15
・Cinebench R15 スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays
左:OpenGL Score
右:CPU Score
FX-9590 4.7GHz GTX650 |
i7-3960X 3.3GHz GTX670 2GB Mini |
Alienware M17x R4 i7-3840QM 2.8GHz/GTX680M 2GB |
MSI GE40 2OC-012JP i7-4702MQ 2.2GHz GTX760M |
|
OpenGL (FPS) |
75.25 | 107.33 | 91.33 | 0 |
CPU (cb) |
720 | 901 | 636 | 536 |
URL | URL | URL | URL | URL |
Cinebench R15が登場したばかりのため比較検証するデータが少なく、実質4種の比較となる。
またその内2種類がノートPC向けのCPUとなっている部分はご了承願いたい。
比較データーが少なく、明確なスコアー比較は難しいがi7-3960X >> FX-9590 >> i7-3840QM >> i7-4702MQと言った結果となった。
OCCT Power Supply Test CPU温度
・OCCT – ocbase.com
OCCT 4.4.0を使用し、OCCT Power Supply Testを実行しCPUの温度を検証した。
ソフトウェア読みとなるため、大幅な誤差が生じている可能性があることをご了承いただきたい。
CPU0とCPU1の温度データが取れており、以下の様な結果となった。
アイドル時 | 負荷時 | |
CPU0 | 約27度 | 約33度 |
CPU1 | 約24度 | 約54度 |
CPU2 | 約2度 | 約47度 |
※室温22.1度で検証
CPU0の温度はアイドル時、約27度、負荷時でも約33度という結果は明らかにおかしいと思われるので割愛。
CPU1の温度はアイドル時約18度、負荷時約49度となっており信憑性はさておき、それらしい数字は取ることが出来た。
CPU2の温度はアイドル時、約2度、負荷時でも約47度となっており、明らかにアイドル時の温度が低すぎるのでこちらも割愛。
CPU温度に関してはマザーボードやCPU内のセンサー、ソフトウェアによって大きな誤差が生まれてしまうため正常な値を取ることが難しいが、1つ言えることは「TDP 220Wという割には冷たかった」ということだ。
OCCT Linpackを回している時にCPUクーラーのフィンの部分やベース部分に触れたが、触れないほどの熱さではなく、長時間触っていても熱いと感じることはなかった。
しかしマザーボードのVRM部分がかなり発熱しており、赤外線温度計で73度を超える温度になっていたため、マザーボードのVRM部分の冷却には気をつけるべきだ。
AMDのCPUはTDPの数値が高くともそれ以下の発熱であることが非常に多く、FX-9590も220Wと言われていたが、体感的には140W程度なのでは?と感じた。
消費電力
・OCCT – ocbase.com
消費電力の計測にはOCCT 4.4.0のLinpackを使用し、計測機器はwatts up? Proを用いた。
消費電力 | |
アイドル時 | 75W |
負荷時 | 293W |
AMD FX-9590定格にGeForce GTX650 1GBを取り付け検証した。
TDP 220Wと言われていた割には「拍子抜けする消費電力の低さ」で、負荷時でも300Wを超えることがなかった。
古い記事とはなるが、約5年前に書いた記事ではPhenom II X3 720 BE + Radeon HD 4870 X2を使用時最大371W、GTX280で最大320Wという数字になっており、今回の結果はそれを下回る結果だ。
またアイドル時の消費電力の低さも特徴で、Phenom II X3 720 BE + 785Gと組み合わせた時のアイドル時は80Wとなっており、FX-9590 + GTX6501GBで75Wとなっているのは驚きである。
結論
・CPUスコアーはCore i7-2600K並
3DMark06、Cinebench R11.5/R15ではほぼトップとなるスコアーをマークしたものの、比較的新しい3DMark系のベンチマークではCPUスコアーがCore i7-2600K並ということが判明した。
マルチスレッドに最適化されているアプリケーション類を利用するならばFX-9590の8コア、4.7GHzというパフォーマンスは生かされるが、対応していないアプリケーションでは2600K並であることに注意して欲しい。
・想像以上にCPUは冷たい、しかしマザーボードのVRMの冷却に注意
TDP 220Wという数字に少々覚えていたが、実際負荷を掛けてみると想像以上にCPUは冷たく、TDP的には140W程度なのでは?と感じた。
しかし、負荷時にマザーボードのVRMが異常に発熱し、GA-990FXA-UD5 Rev3.0のVRMが約70度を超えていたことには驚いた。
CPUを重点的に冷やすのではなく、VRMを重点的に冷やしたほうが良いだろう。
・アイドル時の消費電力は低く、負荷時もそこまで高くない
OCCT Linpackにて30分間負荷を掛け検証したが、アイドル時75W、負荷時293Wという「大したことのない数値」となった。
TDP 220Wと言われていたが、発熱も少なく消費電力も想像以上に低かったため、ある意味期待はずれだった。
TDP 220Wだから~と言って身構える必要は一切無いだろう。
・マザーボード、CPUクーラー選びは慎重に
AMD FX-9590は国内販売が正式に行われておらず、現状某社が並行輸入を行い、それを各店で販売している状態だ。
そのせいもあってか、国内では990FXを搭載するハイエンドマザーの一部のモデルの取り扱いがなく、FX-9590の正常動作を謳うマザーボードは少ない。
今回筆者が利用したGA-990FXA-UD5 Rev3.0はベータBIOSでFX-9590に対応している状態で、正式対応ではない。
また、FX-9590で利用する場合はCPU周りのヒートシンクがしっかりしており、風を当てられるようなCPUクーラーなどを選ぶ必要もあるため、玄人向けだといえるだろう。
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