入門用にお勧めなFLIR製のUSB Type-C用「FLIR ONE Gen3 435-0005-03」を簡単にレビューする

先日FLIR製のUSB Type-C用の赤外線サーモグラフィカメラ「FLIR ONE Gen3(435-0005-03)」を購入したため、簡単なレビューを行っていこうかと思います。

 

何が出来るの?

まず初めに何が出来るのか?というお話ですが「-20度~120度」迄の温度を計測、可視化が出来る製品となります。

よくテレビの番組で体表の暑さやアスファルトの暑さや冷たさを赤色や青色を使って分かりやすく表示しているアレです。

上記画像は「FLIR ONE Gen3(435-0005-03)」を使ってPC内を写した写真で、中央の部分1点で温度を表示、色である程度の温度の高さが分かるといった形です。

 

 

 

FLIRのラインナップ

 

FLIR ONE Gen3 FLIR ONE Pro LT版 FLIR ONE Pro
型番 435-0005-03 435-0013-03 435-0007-03
価格 2.5万円弱 3.5万円弱 4.5万円弱
接続方式 USB Type-C USB Type-C
対応機種 Android 9.0以降(iPad非対応) Android 9.0以降(iPad非対応)
アプリ FLIR ONEアプリ(Google Play)
バッテリー 内蔵(約40分)
充電端子 充電専用Type-Cから給電(5V/1A)
※スマホ側からは電源は取らず
熱画像解像度 80×60 160×120
画素数 4800画素 19200画素
温度範囲 -20~120度 -20~120度 or 0~400度
パレット 9種類(アイアン/グレー/レインボー/コントラスト/アークティック/ラバ/ホイール/最低温度/最高温度)
フレームレート 8.7Hz
温度分解能[MRDT] 150mk 100mk 70mk
画面解像度 1440×1080
概要 赤外線サーマルおよび可視カメラ、MSX付き スーパーファインコントラスト(MSX®)を使用した熱式および視覚式カメラ
画像モード MSX MSX/熱画像/可視画像 MSX/熱画像/可視画像
測定場所の数 中央1点のみ 最高、最低、移動可能な1点の計3か所 最高、最低、移動可能な1点の計3か所
温度範囲固定 不可 可能
温度範囲設定 スポット スポット/ボックス/サークル
精度 ±3度 or ±5%
MSX距離調整 0.3m~無限大 固定15cm~無限大
水平視野角/垂直視野角 50度±1度/38度±1度 55度±1度/43度±1度
サーマルセンサー ピクセルサイズ: 17μm
スペクトラム範囲: 8~14μm
ピクセルサイズ: 12μm
スペクトラム範囲: 8~14μm
落下耐衝撃性能 1.5m 1.8m
サイズ 34×67×14mm 34×68×14mm
重量 34.5g 36.5g
URL URL URL URL

※日本サイトの翻訳が甘く、ミス、誤記載等がある場合も御座います。

2023年7月現在でFLIR製の「USB Type-C」で接続できる赤外線サーモグラフィカメラは3種類販売されており、機能系の違いは上記の表及び「公式サイト比較」にまとめられています。(公式比較は項目が無くなっていたり、翻訳ミスが目立ち訳が分かりませんが…)

めちゃくちゃ雑に纏めると「FLIR ONE Gen3 = FLIR ONE Pro LT版」はほぼ同じハードウェアでソフトウェア的な部分で差を付けており、最上位の「FLIR ONE Pro」は異なるハードウェアのお陰で、解像度、温度範囲も広く万能な製品に仕上がっています。

価格差は「+1万円ずつ上がっていく形」のため、予算と機能に応じて選んでいくと良いかと思います。

因みにですがUSB Type-C用の機種は全て「Android 9.0以降且つiPad OS系非対応」となります。その点にはご注意を。

 

 

 

今回レビューする予定の「FLIR ONE Gen3」は入門機

今回レビューする予定の「FLIR ONE Gen3(435-0005-03)」1番安価なモデルとなり、他機種に比べて「温度分解能や画像モード、測定場所の数、温度範囲固定の有無、温度範囲の設定」等が上位モデル系に劣っているので、所謂「入門機」という位置付けになっているかと思います。

本製品を買って「不便だな、こんな機能があれば良いのになーと感じた場合は上位機種の「FLIR ONE Pro LT版(435-0013-03)」「FLIR ONE Pro(435-0007-03)」を買ってくださいね」というメーカー側の思惑が透けて見えてくる気がします。

価格も+1万、+1万と徐々に上がっていきますし。

 

 

 

パッケージ及び付属品一覧

・取説類×3冊
「FLIR ONE Pro(435-0007-03)」本体
・USB Type-A to Type-C充電ケーブル
・ケース

パッケージは思っていたより気合が入っており、本体に傷が付かないよう梱包されていました

付属品類は非常にシンプルで、実質取説を除けば「USB Type-A to Type-C充電ケーブル」のみ

 

 

 

外観

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外観はアルミが使われており、高級感はそこそこあります。

真ん中のホイールを回す部分は「USB Type-Cの出っ張りの長さを調整する部分」となっており、スマートフォン等で厚めのケースを取り付けている場合はより出っ張らせたり、引っ込ませたりと環境に合わせて調節が出来るようになっています。

3枚目の画像が1番分かりやすいかと思いますが、Type-C端子の右側に黒い余裕が設けられており、干渉対策が行われているようです。

 

 

Type-C端子側には「製造国(MADE IN ESTONIA)」「MODEL:0005」「シリアルナンバー&QRコード」の記載がありました。

 

 

底面側には「電源ボタン」及び「LEDインジケーター」「USB Type-C(充電専用)」を搭載。

何故か販売サイトには分かりにくく記載があるのですが、本製品は「内蔵バッテリーで駆動する方式(約40分)」となります。

スマートフォン側からはあくまでカメラ情報を送るのみで、電源は本体内蔵のバッテリー(約40分)で駆動するため、スマートフォン側からバッテリーを吸うと言った事はありません

但し商品到着時はバッテリーが完全に放電した状態で届いたため、5V/1A以上で約60分ほど充電が必要でした。

 

 

 

商品到着後30日以内に公式からシリアルナンバーの登録で1年間保証付きに

商品到着後30日以内にFLIR公式サイトの「製品登録」から会員登録及びシリアルナンバー&購入証明画像を登録しなければ「メーカー保証1年間」を受けられないため、注意が必要です。

 

 

 

「FLIR ONE」デバイス互換性から対応OSを確認可能

上記リンクに記載している「FLIR ONE®デバイス互換性」から対応OSの確認が可能となっており、FLIR ONE v3.6.1迄は「Android 9/10」に対応、FLIR ONE v4.0.0以降は「Android 11/12/13」に対応となっているため自ずと「Android 9.0以降の対応」と言えるでしょう。

未だに古いAndroid OSを搭載した機種は多く販売されており、Android 8.1以下という製品も多いのでこの点にはご注意を。

 

 

 

Galaxy S20(SC-51A)に取り付けてみた

 

docomoから販売されているGalaxy S20(SC-51A)に取り付けてみました。

横幅が少し小さめなGalaxy S20(SC-51A)と大体同じ横幅となっており、最近の大型のスマートフォンをお持ちの場合は「スマートフォン側の方が横幅がある」ような形になるかと思います。

思っていたよりかはコンパクト。但しカメラの位置的に左右の手が被りそうな所が気になる

 

 

 

USB Type-Cで充電

「FLIR ONE Pro(435-0007-03)」は底面側に「USB Type-C充電端子(5V/1A以上)」を搭載しており、充電専用のポートとなります。

充電中は緑色のLEDインジケーターが光るため分かりやすくなっています。

 

 

 

Galaxy S20(SC-51A、Android 13)で動作確認

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「Galaxy S20(SC-51A、Android 13)」で動作確認を行いましたが、問題なく動作していました。

但しアプリ側が若干不安定?なのか、アプリを起動後「FLIR ONE Gen3(435-0005-03)」の認識時に何のエラー表示もなくアプリが強制終了することが複数回あったため、安定度はやや悪そう

 

 

 

アプリの起動、認識、利用開始まで約36秒程必要

Galaxy S20(SC-51A、Android 13、FLIR ONE v4.2.3)で「FLIR ONE Gen3(435-0005-03)」を挿して起動させてみましたが、途中でFLIRの底面の電源を入れる、認識させる、起動するといった手順を踏む必要があるため「実測で約36秒」掛かっています。

 

 

起動するまでに若干の時間が必要なため、時間に余裕が無いときはイライラしてしまう可能性がありそうです。

 

 

 

「FLIR ONE」は全画面表示に対応していない

残念ながらAndroid版の純正アプリ「FLIR ONE」Androidの「全画面表示」に対応しておらず、スマートフォン側の設定で「自動回転」にしていてもOS側のナビゲーションメニュー類は回転しなかったため、ナビゲーションバーの操作及び、FLIRのカメラに手が被らないようにする事が難しく感じました。

 

 

文字で書いても分かりにくいので撮影時の状態を簡単に撮影してみましたが、上記の画像の通り

当然スマホのディスプレイを見ながら「FLIR ONEアプリ」の操作する形となるため、上記のような形でしか取付は不可

この状態でスマホを縦持ちすると「右手 or 左手」で持ったスマホとFLIRのカメラ部分が干渉しやすくなり、手を映してしまうこともしばしば。

FLIRカメラの位置を反対にしてしまうと「自分の顔側の温度を見る形」となるため、そんな使い方はする人は居ないでしょう。

 

 

 

スマホを横持ちすれば干渉無く撮影は可能でしたが、全画面表示には対応していない影響で、OS側のナビゲーションバー(戻る、ホーム、マルチタスク)や上部の通知領域等は縦画面のまま(アプリ内の表記は横回転している)だったので、この辺りを何とかして欲しいなと。

 

 

 

「中央1点のみ」が物足りない

温度を測定していると「測定部分は”中央の1点のみ”」となり、好きな場所を中央から離して測定できないのが気になってきます。

例えば1枚目の画像はCPUの簡易水冷クーラー部分の温度をチェックしていますが「”その瞬間”の最低、最高、好きなポイントの温度」を1枚の画像に表すことが出来れば、より便利なのでは?と感じてしまいました。

しかし安価な「FLIR ONE Gen3(435-0005-03)」「中央の1点のみ」という制約があるため、そのような使い方をする場合は上位モデルの「FLIR ONE Pro LT版(435-0013-03)」「FLIR ONE Pro(435-0007-03)」を購入する必要があります。

この辺りを考えると、やはり上位モデルを買うべきだったのかもしれません。(試してみないと分からないこともあるので最安モデルを購入したわけですが。)

 

 

因みに「FLIR ONEアプリ」に元から内蔵されている上記サンプル写真のように「場所に応じて温度表示が可能」となっており、「特定のエリアの最低、最高温度」等も表示が可能です。

「FLIR ONE Gen3(435-0005-03)」「中央の1点のみ」という制約があるため、正直羨ましい。

 

 

 

カラーモードは「9種類」から選択が可能

「FLIR ONEアプリ」から「9種類のカラーモード(アイアン/グレー/レインボー/コントラスト/アークティック/ラバ/ホイール/最低温度/最高温度)」を選択、切り替えが可能となっており、場面に応じて切り替える事でより見やすい静止画や映像を撮影することが可能です。

デフォルトでは画像1枚目の「アイアン」に設定されています。

 

 

 

静止画の連射速度は十分

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静止画時の連射はどれぐらいできるのか?という事で検証してみました。

結果から言うとかなりの速度で連射出来ており、必要十分な連射速度があると言えそうです。

 

 

 

バッテリー容量は「FLIR ONEアプリ」から確認が可能

 

「FLIR ONE Gen3(435-0005-03)」のバッテリー残量は画像1枚目の「FLIR ONEアプリ」の左上にある「三」から確認が可能です。

駆動時間は「最大40分前後」となり、必要に応じてUSB Type-C充電専用ポートから5V/1A以上で約60分の充電が必要です。

 

 

 

iPad mini 6(iOS 16.5.1(c))ではアプリ側が「FLIR ONE Gen3」を認識せず

販売サイトに「不適合:✕ Type-C端子のiPad/iPad Pro。✕「Based on android OS」や「android OS 準拠」などの正式なandroid OSではないOSのスマホ/タブレット。✕ Chrome OSのスマホ/タブレット。 ✕ Windows OSのスマホ/タブレット。」と記載があったので、念のため検証で「iPad mini 6(iOS 16.5.1(c))」「FLIR ONE Gen3(435-0005-03)」を挿してみました。

 

 

 

iOSおよびiPad OS用アプリの「FLIR ONE」は配布されていたものの、カメラ側を正常に認識できず、利用できませんでした

一応カメラ側に電源は供給されているのか「カチッ、カチッ」と内部から音は鳴っていたものの、アプリ側もしくはOS側で弾かれている様子。

 

 

 

総評

・安価であるが故に機能が制限されている入門機

本製品はUSB Type-C用のモデルの中では最も安価(2.5万円)な製品となっているためか、最もシンプル且つ機能を厳選、制限している部分もあるため「入門機」の扱いになっています。

「温度範囲設定:スポットのみ」だったり、「測定場所の数:中央1点のみ」、「画像モード:MSXのみ」等上位機種に比べて「やや物足りなさ」を感じるところもあり「入り口は広く、高機能が欲しければ上位モデルを」と言わんばかりの仕様でした。

使っていく内に「測定の場所の数が中央1点のみ」である点が気になってきたり、「温度範囲設定も上位モデルのスポット/ボックス/サークル」の方が便利そうと思えてきたりと「まさに沼!」といった機能の削り方で、売り方が上手いなと。

価格差も+1万ずつ上がっていくような形で最廉価モデルから+2段階進化を残しており、最上位モデルはしっかりと機能類を差別化している辺り「やり手だな」と感じさせます。

正直1個買えば5年スパンで使えそうな製品のため、いきなりではありますが「最上位モデルを購入しても良かったな」と今後悔しています。

 

公式サイトの表記ブレや商品紹介が雑なのが気になる

日本語で掲載されている公式サイトの情報はページによって「記載内容/項目が異なる」といった事が発生しており、翻訳時のミスが目立ちます。

単純にスペックの比較を行いたいだけなのに項目が消えていたり、モード名が翻訳ミスでバラついていたり「売る気があるのか?」と感じてしまうほど。

公式で3種類の比較が行えますが「ホームページのUIが分かりづら過ぎる」という事もあり、直リンクを用意しておきました。

「3種類は何が違うのか?」というのを消費者側に伝える努力を放棄しているのが非常に残念でなりません。

 

・起動までに若干時間が掛かるのも懸念点

「アプリの起動→Type-CにFLIRカメラを挿す→FLIRカメラの電源を入れる→アプリ側で認識する→起動」といった流れを毎度やる必要があり、起動までに「約36秒」掛かっていました

10~20秒辺りでしたら待てる余裕は有りそうですが、それ以降は「まだか、まだか」となってしまうので、もう少しアプリの起動が高速化されれば良いなと思ってしまいます。

 

・カメラの位置的に手が被りやすい点も気になる

レビュー中でも記載しましたが、やはり縦持ちの状態で「FLIR ONE Gen3(435-0005-03)」を使おうとすると左右どちらかの手でスマートフォンを持つ必要があるため「FLIRカメラに手が映りがち」になります。

「FLIR ONEアプリ」が今後アップデートで全画面表示に対応すればナビゲーションメニュー、通知領域等の操作性も改善しそうなのですが…。

外付けであるが故に使い方を考えないといけないのがネック。

 

 

 

購入は以下より

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