DeepCool AM5 Thermal Paste Guardを検証する

2025年3月8日

AMD用のSocket AM5はCPUの形状が表面積を稼ぐために歪な形になっており、その部分にグリスが入り込み掃除するのが大変だったので、「DeepCool」から販売されている「AM5 Thermal Paste Guard」を試してみました。

 

AM5 Thermal Paste Guard導入の目的

・Socket AM5用CPUの歪な形のヒートスプレッダに全銅製のプレートを嵌めこみ、グリスが入り込みにくくする

・Socket AM5用CPUの歪な形のヒートスプレッダに全銅製のプレートを嵌めこみ、安定性と冷却能力を向上させる

「AM5 Thermal Paste Guard」の導入意味は「グリスが入り込みにくくする(掃除のし易さ向上)、安定性と冷却能力を向上させる」と言うのが目的。

 

 

 

パッケージ及び付属品一覧

・Socket AM5用全銅製プレート

・グリスを伸ばすヘラ

・グリスを除去するクリーニングシート

付属品は上記の通り。

てっきり取説があるのかな?と思ったらパッケージ裏に「QRコード(取説PDF)」が貼り付けられているだけで、マニュアルは付属していませんでした

取説に日本語記載は無し

別にCPUにハメるだけなので、図解さえあれば十分です。

 

 

 

全銅製で高級感はある

全銅製で非常に高級感のある製品に仕上がっています。

表面には「DEEPCOOLアイコン」「AM5」と記載があり、「AM5 Thermal Paste Guard」の表裏が分かりやすくなっています。

 

 

 

取り付けてみた

 

GIGABYTE製のMicro-ATXマザーボード「B650M DS3H Rev1.0」に取り付けしてみました。

上に載せるだけではダメで、上から指等で抑え込むことでガッチリCPUの溝にハメて使用する形となります。

設計上の仕様なのか「CPUのヒートスプレッダの方が高く、「AM5 Thermal Paste Guard」が低い」形となっており、CPUクーラーの接地面とは接地しない状態となります。

 

 

 

グリスはそこそこガードしてくれる

「AM5 Thermal Paste Guard」上からCPUクーラーのベースプレート部分で押さえつける事でCPUのヒートスプレッダにピッタリハマるような形状をしており、押さえつけないとハマらない=隙間が殆どないと言う事を意味します。

隙間が無い=グリスが入りにくいと言う事に繋がり、上からサッと拭くだけでソケット周辺の大まかな掃除が行えるのはかなり便利。

ただ頻繁にCPU、CPUクーラーを外す人でなければこのメリットは享受しにくいというのは有ります。

 

 

 

CINEBENCH 2024でベンチマーク検証

「CINEBENCH 2024」の「Run All Tests」で全てのベンチマーク(GPU/CPU Multi Core/CPU Single Core/MP Ratio)を回して「HWINFO」のセンサー値を簡単にチェックしてみました。

なお今回CPUクーラーは1番安価且つ冷却能力が低い「AMD用リテールクーラー(Wraith STEALTH LED無し)」とNZXT製のサイドフローの「T120 Black」、Scythe製の「FUMA3(SCFM-3000)」「AM5 Thermal Paste Guard」のプレート無し、プレート有りの2パターンを簡単に検証しています。

 

 

CPUクーラー/プレート有無 プレート無し プレート有り
AMD Wraith STEALTH CPU(Tctl/Tdie): 最小: 47.1度最大: 91.4度
コア温度:  最小: 33.1度最大: 88.4度
CPU(Tctl/Tdie): 最小: 45.5度最大: 91.2度
コア温度:  最小: 31.8度最大: 88.4度
NZXT T120 Black 1回目 CPU(Tctl/Tdie): 最小: 37.1度最大: 84.5度
コア温度:  最小: 23.5度最大: 81度
CPU(Tctl/Tdie): 最小: 37.1度最大: 84.5度
コア温度:  最小: 23.5度最大: 81度
NZXT T120 Black 2回目 CPU(Tctl/Tdie): 最小: 38.4度最大: 85度
コア温度:  最小: 24.8度最大: 81.4度
Scythe FUMA3 CPU(Tctl/Tdie): 最小: 39.4度最大: 86.9度
コア温度:  最小: 25.8度最大: 83度
CPU(Tctl/Tdie): 最小: 39.1度最大: 87度
コア温度:  最小: 25.3度最大: 83.2度

 

「AMD用リテールクーラー(Wraith STEALTH LED無し)」は元から冷却能力が足りていない為かほぼ効果なし。

「T120 Black」はヒートパイプダイレクトタッチの平滑度が足りていない為か、あまり効果が見込めずほぼ効果なし

あまりの温度差の無さに慌ててプレート有りでグリスを塗り直して再検証しましたが、結果はほぼ変わらずほぼ効果なし

期待の「FUMA3(SCFM-3000)」は若干の温度低下が確認出来ましたが、最大温度が上昇しており、ほぼ効果なしと言えそう。

 

 

類似品も登場中

2024年6月に米国指定のロシア企業と100万ドル以上の「CHPL製品(共通高優先度リスト)」「DeepCool」から供給されており、経済制裁の対象となったことで米国発の販売プラットフォーム(Amazon等)で製品類が入手できなくなっています。

その影響で日本国内でも徐々に「DeepCool」の取り扱いが終了しており、AM5用のグリスガード「AM5 Thermal Paste Guard」も入手しにくくなっている状況でした。

※日本発の販売プラットフォーム「楽天市場」「Yahooショッピング」、店頭販売等では「DeepCool」製品が引き続き入手が出来ます。

 

 

まとめ

・冷却効果はあんまり無い

冷却効果は全体を通じて「殆ど無い」と言えそうです。

そもそも全銅製の「AM5 Thermal Paste Guard」はCPUヒートスプレッダの方が高く、CPUクーラーと直接当たっている訳ではないので温度をCPUクーラーに直接伝えられている訳では無い=温度変化は期待できないという。

 

・どちらかと言えばグリス侵入防止

どちらかと言えばグリス侵入防止がメインのパーツなので、グリスがヒートスプレッダの細かい部分に入って行かないだけでも十分「買い」と言える製品です。

 

・保証を飛ばさず作業が出来る

「LGA1700用の反り防止ソケットカバー」に比べると「AM5 Thermal Paste Guard」保証を飛ばすことなく取り付け、取り外しが行えるのでその点安心なのがメリット

デメリットとしてはCPUを取り外す際に「AM5 Thermal Paste Guard」を先に外さなければCPUがソケットカバーごと浮いてしまい、最悪浮いたCPUがふいに落ちてLGA部分に当たってピン曲がりが発生する可能性があるので、必ずCPUを取り外す前に「AM5 Thermal Paste Guard」を取り外しましょう。

 

 

購入は以下より