海外から購入したPCパーツ2個が不良品だったため、販売元に連絡し返金手続きになったお話

海外から購入したPCパーツ2個が不良品だったため、販売元に連絡し返金手続きになったお話

先日某所で同じ出品者から2枚グラフィックカードを個人輸入したのですが、2枚ともベンチマーク中にディスプレイ出力が荒れる、ドライバーが当たるとディスプレイ出力がされなくなる等問題が発生していたため、販売元に連絡し返品手続きを行う事になりました。

その検証を雑に記事化してみました。

 

検証機器

Radeon Pro VIIはディスプレイ出力が「Mini-DP×6ポート」となっているため、GOPPA製の「Mini-DP → HDMI 2.0変換ケーブル 2m(GP-MDPHD/K-20)」を購入し、AverMedia製のTB3キャプチャー機器「Live Gamer BOLT(GC555)」でキャプチャーした映像です。

 

 

検証環境

CPU: Intel Core i5-13600K
M/B: ASRock Z690 PG Velocita
RAM: Crucial DDR5-4800 計32GB(16GB×2) CT2K16G48C40U5
SSD: Samsung 950 Pro 512GB M.2 2280(NVMe/PCIe 3.0×4)
GPU: Radeon Pro VII 16GB HBM2(PCIe 3.0×16、VBIOS:016.004.000.030) ※2枚
Driver: AMD Software Adrenalin Edition 23.Q1.1(22.40.37.17-230424a-39119SC-AMD-Software-PRO-Edition)
Windowsドライバーバージョン: 31.0.14037.17019
OS: Windows 11 22H2(22621.1635)
Display: LG 48インチ 有機EL OLED48C1PJB(HDMI、4K2K@120Hz)
ディスプレイ出力: Mini-DP → HDMI 2.0変換ケーブル 2m(GP-MDPHD/K-20)
キャプチャー機器: AverMedia Live Gamer BOLT(GC555)

検証環境は上記の通り。

 

 

 

不具合動画

05:28:FFXIV 暁月のフィナーレベンチ(フルHD、ウィンドウ表示)が「DirectXで致命的なエラーが発生しました。(110000002)」で落ちる。また落ちる瞬間に所々ディスプレイの表示が荒れている。

06:28:AMD Software PRO Editionからコアクロック、温度等のオーバーレイ表示後に解像度をフルHD@60FPS→4K2K@60FPSに切り替えると表示内容がバグる(恐らくAMD Software PRO Editionの不具合が原因)

16:43:再起動後、AMD Software PRO Editionのオーバーレイを起動しようとするとディスプレイの表示が荒れ始める。(RGBのドットのようなものが画面上に表示されているものが録画出来ている)特にWindows 11の設定の白画面時に荒れているのが分かりやすい。

17:08:CINEBENCH R23で起動時にディスプレイの荒れが顕著に分かる(灰色の画面で変な縦線のドットが録画されている)

20:25:PHANTASY SYAR ONLINE 2 NEW GENESISベンチマーク開始。AMD Software PRO Editionのオーバーレイの表示が急に大きくなり、瞬間的に小さくなる。その後ベンチマーク開始後途中でベンチが停止し、勝手に終了させられる。

 

 

動作確認時に動作音とChromeリモートデスクトップで画面左下に表示したAMD Software PRO Editionのオーバーレイを表示しながらの撮影となります。

01:48:FFXIV 暁月のフィナーレベンチ中に急に描画が停止し、GPU使用率が一気に落ちベンチマークが強制終了。

 

 

 

簡単なまとめ

・4K@60FPS環境でディスプレイを表示すると描画が荒れる

フルHD@60FPS環境ではFFXIVベンチが完走していたためあまり問題は無さそうでしたが、4K@60FPS環境にし始めた途端ディスプレイの表示にノイズが載り始めたり、ベンチマークが完走しなかったりと不安定な部分が確認できたため、負荷によって現象が発生する、しないがありそうです。

ただ負荷時のノイズ(モザイク)を考えるとGPUのコアクロックやVRAMのクロック辺りが怪しいなと思っています。

 

・GPU-Zの表記が「Radeon VII」

到着時に動作確認として「デバイスマネージャー」や「GPU-Z」、「AMD Software PRO Edition」等でGPU名を確認していたのですが、全て「コンシュマー向けのRadeon VII表記」となっており「Radeon Pro VII表記ではなかった」というのが気になりました。

ただドライバーに関してはPro Driver(31.0.14037.17019(Pro 23.Q1.1) DCH/Win11 64))が当たっているのが良く分かりませんが。

 

 

通常Radeon Proシリーズの場合デバイスマネージャーでは「Radeon (TM) Pro WX 9100」GPU-Z等では全てRadeon Proシリーズを表す「青色アイコン」と「Radeon (TM) Pro WX 9100」という表示が行われます。

しかし今回送られてきた「Radeon Pro VII×2枚」はデバイスマネージャーやGPU-Z等でも全て「Radeon Pro VII表記」となっており、GPU-Zのアイコンですら「赤色のRadeon VIIのアイコン」となっていました。

 

・GPU-Z表記のコアクロックが異なる

Radeon Pro VII: Mini-DP×6、コアクロック:1400~1700MHz、PCIe 8ピン+6ピン、TDP 250W/600W電源要求
Radeon VII: HDMI 2.0b×1+Display Port 1.4a×3、コアクロック:1400~1802MHz、PCIe 8ピン×2、TDP 295W/600W電源要求

プロ用のRadeon Pro VIIはコンシュマー用のRadeon VIIベースのGPUとなっているため、仕様はほぼ共通ですが、大きな違いとしては「ディスプレイ出力が異なる(Mini-DP×6 or HDMI 2.0b×1+Display Port 1.4a×3)」、「コアクロックが異なる(1400~1700MHz or 1400~1802MHz)」、「補助電源が異なる(PCIe 8ピン+6ピン or PCIe 8ピン×2)」、「消費電力が異なる(TDP 250W/600W電源要求 or TDP 295W/600W電源要求)」等多岐に渡ります。

 

 


左: Radeon Pro VII(1304~1801MHz)
右: Radeon VII(1321~1835MHz)

Radeon Pro VII GPU Clock: 1304~1801MHz
入手したRadeon Pro VII: 1304~1801MHz
Radeon VII GPU Clock: 1321~1835MHz

しかし今回入手したRadeon Pro VIIはGPU-Zで確認すると「GPU Clock: 1304MHz~1801MHz」となっており、明らかにコアクロックがRadeon VIIと近い値となっています。

 

・VBIOSのバージョンが「016.004.000.030.011639」でRadeon VIIのものになっている

GPU-Zをさらに細かく見てみるとVBIOSのバージョンが「016.004.000.030.011639」と表記されており、こちらをググるとTECHPOWERUPで「Radeon VII」が表示されました。

察しの良い方はもう分かったはずです。

コレ、恐らくRadeon VIIのVBIOSを焼かれたRadeon Pro VIIです。(Pro VIIには分解シールは貼られていたので分解はされていないはず。AliExpressとかでシール売ってるので分解されている可能性も否定できませんが、そこまでやる必要は無さそう?)

 

Radeon Pro VII: 016.004.000.064.015319
Radeon VII: 016.004.000.030.011639

TECHPOWERUP内で「Radeon Pro VII」のBIOSを発見したのでVBIOSのバージョンを確認すると「016.004.000.064.015319」となっており、当方が入手した個体とは異なるVBIOSのバージョンでした

この時点でほぼ確定で「Radeon VIIのVBIOSを焼かれたRadeon Pro VII」と言えるはず。

 

 

 

マイニング用にVBIOSをRadeon VIIの物に書き換えた製品の可能性

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これまでの情報から察するに「マイニング最盛期にRadeon Pro VIIにRadeon VIIのVBIOSを焼いて動かしていたもの?」と思われます。(マイニング時はVRAMのメモリクロック重要でしたから)

 

ただ「税別1899ドルのGPUに税別699ドルのVBIOSを焼いて使う(保証無し)」って事を考えると費用対効果悪すぎじゃないか?と思えるのですが…。(間違っている可能性もあるので何とも。)

 

 

 

出品者に連絡し状況を説明後、返品へ

And what exactly is wrong? The cards were tested before shipping and it is imposible that both would have the same spontanius problem at the same time happen. Pobably there is a problem with your pc. Information only : (Please note that we take fraud seriusly and report every case internationaly with police)

出品者に検証時の動画及びGPU-Zやデバイスマネージャー等の証拠を元に連絡したところ「2枚も不具合が起きるなんてありえない。カードは出荷時にテストされている。詐欺行為は真剣に受け止めており、すべての事件を国際的な警察に連絡していることに注意してください」という脅しのメッセージが。

いや、Radeon Pro VIIをRadeon VIIと偽って販売している貴社の方が犯罪行為ですよと…。

この記事で纏めた画像類を追加し「今販売している在庫も全て確認してください。恐らくRadeon VIIの状態で販売されているはずです。これが間違っているようであれば私も返品依頼を取り下げますが、確固たる証拠があり、実際不具合も起きているため問い合わせているのです。どうか確認をお願いします。」と送ったところ、1日後に返品依頼が通りました

結局在庫分もRadeon VIIの状態で、4K@60FPSで負荷を掛けた際に不具合が出たのかどうかは分かりません。

しかし返品依頼を渋っていたのが突然受けたという事は何かしら問題が確認できたのではないか?と思われます。

※販売元ページ確認したらRadeon Pro VIIの在庫が7個あったはずが出品全部消えていたので、販売元も気付いていなかった線が濃厚。

 

 

 

EMSで返送へ

返送先情報を販売元に確認し、即時EMSで返送

送料はなんと驚きの「EMS 第3 2.5kg~3kgまで: 8,800円 + 損害補償:+350円 計:9,150円」

勿論返送料は販売元負担となるため、ドル円レートで変換した後に出品者側に請求する形となりますが、それまで購入者側が立て替えないといけないので非常に迷惑。

時間が無駄に消費され、立替費用の請求や手間が発生しているので、後処理が大変です…。

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