Mini-ITXなマザーにZ68を搭載し、さらにGeForce GT430 1GBをオンボードにしてしまったという超変態マザー、Z68ITX-B-Eのレビューとなります。
[11.07.17]:投稿
[11.07.20]:ベンチマークスコア追記
[11.07.20]:消費電力の項目を追加
目次
パッケージ及び付属品一覧 |
小さい箱の中によくこれだけ詰め込んだなぁ…と思わせる内容品の多さ。
<付属品一覧> |
マザー概観 |
ソケット:LGA1155 サイズ:Mini-ITX チップセット:Intel Z68 Express オンボード:GeForce GT430 1GB、無線LAN その他仕様に関しては公式サイトをご覧ください。 |
電源/VRM |
4フェーズDrMOS搭載でリテールクーラーと干渉させないように背の低いフェーズが採用されています。 (おそらく残り2つはZ68かメモリ用) VRM部分には小さいですがヒートシンクが取り付けられており、トップフローのクーラーで冷却される形。 |
CPU用電源 |
CPU電源は4ピンのみ。
元々Mini-ITXですし、OCの必要性も殆ど無いと思うのでここは割りきって使うしかないです。 |
CPUソケット |
ソケットはLOTES製。
ロットなどによって変化することがあるので注意。 |
メモリスロット |
メモリはDDR3のSODIMMタイプが2本。
公式サイトではDDR3-1333、最大16GBまでとなっています。 メモリの固定は爪で固定するタイプなので固定しやすいです。 |
拡張スロット |
拡張スロットはPCI Express*4(エッジフリー)のみとなっていますが、GT430がオンボードで搭載されているので特に問題はないと思います。
この他にもMini-PCI Express(無線LAN搭載済み)や、マザー裏面にmSATAのポートが存在します。(画像2枚目) Mini-ITXの割には拡張出来る場所が多く特徴的。 |
USB3.0のブラケット |
Z68ITX-B-EのUSB3.0チップは背面に2ポート、ケース向けに2ポートといった形になっています。
付属品の左下のUSB3.0 ×2ポートのブラケットを使ってやることでUSB 3.0×2ポートを増設することが可能。 また、ASUSのP8P67 DELUXEなどにも搭載されているUSB3.0→3.5インチを使えばケースの前面にUSB3.0を2ポート出すことも可能です。 |
I/Oパネル |
ちょっと複雑なのでリスト形式で。
・有線LAN USB関連が合計4ポートしかないのはあまりにも少ないと感じました。 |
Hi-C CAP採用 |
CPU周辺にはHi-C Cap(導電性高分子固体コンデンサ)が採用されています。 |
GeForce GT430をオンボードで搭載 |
通常ではPCI Expressを通してグラフィックカードを搭載しますが、Mini-ITXの場合拡張スロットは1つしかなく、グラフィック用に割り当ててしまうとその他のカードは挿せなくなります。
しかし、GT430をマザーにオンボードさせることでZ68ITX-B-Eは拡張カードを1つ挿せるようにしたという素晴らしいマザーです。 GT430のクーラーはファンレスは厳しかったみたいで4ピン接続のファンを搭載。 |
SATAポート |
SATAポートはGT430のヒートシンクの右下に配置されています。
BIOSやPower ON用のピンヘッダ、ATX24ピンなどが密集している部分にあるのでラッチ付きのSATAケーブルを使った場合外しづらいです。 |
マザー裏面 |
マザー裏面にはGT430のVRAMが搭載されており、この他にもZ68で利用出来るSRT用のm-SATAコネクタを搭載。
Mini-ITXとは思えない拡張度です。 |
搭載チップ関連 |
・VIA VLi VL800-Q8:USB3.0 Hubチップ。I/O向けに2ポート、内部のUSB 3.0端子に2ポート供給。 ・Realtek ALC892:オンボードサウンド ・nuvoTon NCT55770:スーパーIOチップ ・Realtek RTL8111E:Gigabit Ethernet ・Samsung K4W1G1646E-HC12:GT430用128bit GDDR3 1GB |
クーラー取り付け時のメモリに関して |
PROLIMA TECH Samuel 17とUMAX製のSODIMMメモリDCSoDDR3-8GB-1333を用いています。
メモリの高さは比較的余裕があり、容易ではありませんが外すことは可能。 ただしCPUに一番近いスロットはSamuel 17に干渉してしまうので、メモリを引き抜く際は斜めに抜かなければなりません。 |
CPUクーラーとGT430のヒートシンクの干渉について |
PROLIMA TECH Samuel 17を取り付けた状態。
Samuel 17のヒートパイプがギリギリGT430のヒートシンクに当たらぬようになっています。 背の低いCPUクーラーの多くはヒートパイプが出っ張っているものが多いので、設置時はヒートパイプの向きを変えたりする必要がありそうです。 [11.07.21 追記] ※こちらの件について同じ境遇の方が居られましたので記事を紹介させていただきます。 私はZ68ITX-B-EをLianliのPC-V354で組んだのですが、どうやらLianli系のケースは電源を入れた際にGNDを設置させるタイプのもので動作に支障が出る模様。 AINEXのスイッチキットを導入することで解決したそうですが、ウチはcomon製のスイッチを持っていたので接続しテスト…しかし状態は一切かわらず。 どうやらケースのスイッチによるGNDの問題ではない?みたいで…良く分かりません。 現状は電源を挿すと勝手に電源が入ってしまいますが、立ち上げてシャットダウン → 次からスイッチが効くという謎状態なので暫く様子見をしようかと。 |
スリープ復帰後GT430のファンが100%で回転し続ける |
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Windows 7でスリープに入れるとGT430のファンが100%に近い回転数で回ります。
動画中に撮影しておりますがアイドル時は約3300RPMで回転、スリープ復帰後は約5000RPMで回転していることがわかります。 おそらくBIOSのファン調整が上手くいってないと思うので今後のBIOSの更新で直ることを期待したいです。 ちなみに再現度は100%。 |
スリープ後Dドライブがドライブを見失うことがある |
スリープ復帰後、データ用のドライブにしているDドライブが認識されなくなっていることがありました。
頻度的には20回起動で2回ほどだったのでそこまでは多くない感じです。 ただHDDがが壊れかかっているのかも知れないし、相性が出ているのかも知れないのでなんとも言えません。 |
電源のPOWERボタンを入れると勝手に電源が入る |
普通でしたら電源のPOWERスイッチを入れてからマザーが通電、ケースのPOWERスイッチをスイッチで電源が入るといった過程で電源が入りますが、Z68ITX-B-Eは電源のPOWERスイッチを入れた時点で勝手に電源が入ります。
もちろんケースのPOWERスイッチのピンは挿していないです。 通常でしたらショートを疑うべきですが、マザーを静電気防止の袋の上に載せ検証してみたところやはり電源のPOWERスイッチをいれるだけで電源が入っていたので仕様なんでしょうかね。 それかうちの個体が初期不良か。 |
検証環境 |
3DMark06 |
3DMark Score:7636 SM2.0:3363 SM3.0:2920 CPU:2641 |
3DMark Vantage Perfomance |
3DMark Score:P4570 GPU:3659 CPU Score:18052 |
3DMark Vantage Extreme |
3DMark Score:X1845 GPU Score:1761 CPU Score:18377 |
3DMark 11 Perfomance |
Score:P1078 |
PCMark 7 |
Score:2998 PCMarks |
CrystalMark2004 R3 |
Mark:1472897 GDI:14747 D2D:9884 OGL:30836 |
Heaven BenchMark Ver2.5 低負荷 |
FPS:3.8 FPS Score:96 |
Heaven BenchMark Ver2.5 高負荷 |
FPS:16.4 FPS Score: 413 |
◇CINEBENCH RELEASE 11.5 |
OpenGL:24.86 FPS CPU:1.97 pts |
◇Perfomance Test 7.0 |
Score:2400.5 |
◇Windows 7 Experience Index |
最大スコアー:7.7 プロセッサ:6.4 メモリ:7.7 グラフィックス:6.6 ゲーム用グラフィックス:6.6 プライマリHDD:7.7 |
◇FF XIVベンチ Low |
Score:1919 |
◇FF XIVベンチ High |
Score:984 |
◇HDBENCH |
ALL:145398 Rectangle:39172 Text:71200 Ellipse:3537 BitBlt:66 DirectDraw:59 |
◇Sandra 2011 グラフィックスレンダリング |
総合シェーダーパフォーマンス:49.32Mピクセル/秒 ネイティブ浮動小数点シェーダー:121.62Mピクセル/秒 ネイティブダブルシェーダー:20Mピクセル/秒 |
◇Sandra 2011 グラフィックスメモリ |
総合的なメモリのパフォーマンス:10.11GB/秒 内部メモリ帯域:20.3GB/秒 データ転送帯域:5GB/秒 |
GPU温度 |
FurMark 1.8.8にてStability Test(FullScreen/AA2倍)を約10分間行いました。
最大温度:70度 負荷時でもファンスピードは殆ど変わらず、ケースの中に入れていると騒音が漏れてくるといったことはありませんでした。 |
消費電力 |
Intel HD 2000 アイドル時:39W Intel HD 2000 高負荷時:70W GeForce GT 430 アイドル時:38W GeForce GT 430 高負荷時:80W |
Lucid社のVirtuを使ってCPU内蔵グラフィックとディスクリートGPU(GT430)を切り替え消費電力の計測を行いました。
結果的にIntel HD 2000 とGT430の消費電力の差はアイドル時でも1W、高負荷時でも10Wと非常に小さな幅となりました。 予想していたより差はなく、これだとGT 430を使っていたほうがいいのでは?と感じました。 またIntel HD 2000 の状態で利用していた場合、Win 7のAero表示でウインドウを多く開くと描画が遅くなるといった症状が発生していたので、そういった意味でもGT430の方が快適に使うのなら10W差ぐらい我慢してもいいのでは?と感じました。 |
◇総評
スリープ時の不具合やPOWERスイッチ関連の不具合が目立ちましたが、久しぶりにいい買い物をした!と思えるマザーです。
私はPentium G620と組み合わせて利用しておりますが、アイドル時が39W、高負荷時でも80Wという大幅な消費電力の低減ができました。
代わりに並列処理が2C2Tのお陰で弱くなりましたが、動画やネットサーフィンをする程度でしたら困ることは全くありません。
ゲームしないときはHD2000を利用して消費電力を低減、ゲームしたいときはGT430を使って快適に遊ぶ そういった使い方をする方にはおすすめですね。
Mini-ITXなので非常に小さく組めますし、余ったPCI Express*4スロットはサウンドカードかTVチューナーを挿してやれば困ることはないと思います。
「小さく、ハイエンドに…」といった要望を満たしてくれるマザーなので今後こういったマザーが増えてくることを祈りたいです。