AMD商用初の5GHz超えCPU FX-9590のパフォーマンスをチェックする

AMD商用初の5GHz超えCPU FX-9590のパフォーマンスをチェックする

AMD FX-9590 Black Edition 8Core CPU Socket AM3+, 4.7GHz, 16MB, 220W – Amazon.co.jp

AMD FX-9590 4.7GHz 8コア SocketAM3 CPU – 楽天市場

AMD FX-9590 4.7GHz AM3+/Box 【AM3+】

昨年7月にAMDは商用初の5GHzを達成した8コアCPU「FX-9590」を発表し、話題となった。

今回はおでん氏の御厚意により、CPUとマザーセットをお借りする機会を得られたため、詳しく検証を行った。

 

 

 

パッケージ及び付属品一覧

DSC04627 DSC04633 DSC04641

<付属品一覧>

・CPU本体
・AMD FXロゴシール
・取扱説明書

 

Black Edition (倍率ロックフリー)となるため、CPU用のリテールクーラーは付属しない

そのせいもあってか非常に無駄のないパッケージに仕上がっている。

 

 

 

 

仕様について

 

コア数 8コア
定格動作周波数 4.7GHz
Turbo Core時 最大5.0GHz
ソケット Socket AM3+ (942)
L2キャッシュ 2MB×4
L3キャッシュ 8MB
倍率ロック ロックフリー
対応メモリ DDR3-1866
TDP 220W
コア名 Vishera
製造プロセス Global Foundries 32nm SOI

 

TDPは衝撃の220W。最大5GHz駆動のCPU「FX-9590」,そのスペックが明らかに – 4Gamer.net

CPUに関する詳細については4GamerのFX-9590発表時の記事に掲載されており、従来のCPUとの差を確認したい場合は4Gamerの記事を見て頂きたい。

 

 

 

 

次はおまちかねのベンチマークだ。

今回よりスコアー比較を明確に行いやすくするために、ベンチマーク毎にページにスコアー一覧表を設けた。

現状はデータを追加しつつ、表示方法を見やすく出来るように調節している所なので、お見苦しい所があるか、ご了承して頂きたい。

 

 

 

 

3DMark 06

3DMark06 スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays

amd_fx-9590_gtx650_3dmark06

 

FX-9590 4.7GHz
GTX650
i7-2600K 3.4GHz
HD5970
Phenom II X6 1090T 3.2GHz
HD5970
i7-3520M 2.9GHz
HD4000
A10-6800K 4.1GHz
HD8670D
Score 16821 24389 20152 6600 8058
SM2.0 6392 8934 6952 2193 3021
SM3.0 6825 12531 10396 2763 3297
CPU 7500 6436 5756 4186 3640
URL URL URL URL URL URL

※CPUスコアー順

 

注目して頂きたいのはCPUスコアー。

8コア8スレッド4.7GHzと言った性能を発揮し、Core i7-2600K 3.4GHz (4コア8スレッド)よりもパフォーマンスが16%高いスコアーをマークしている。

 

 

 

 

3Dmark Vantage Perfomance

3DMark Vantage Perfomance スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays

amd_fx-9590_gtx650_vantage_perfomance

 

FX-9590 4.7GHz
GTX650
i7-4770K 3.4GHz
HD4600
i7-2600K 3.4GHz
GTX480
Core i7-3520M 2.9GHz
HD4000
A10-6800K 4.1GHz
HD8670D
Score 12380 6472 20462 4036 5611
Graphics 10644 5119 19150 3323 4994
CPU 24236 31239 25753 11332 8908
URL URL URL URL URL URL

※CPUスコアー順

 

 

3DMark06時に比べ、FX-9590の優位性は殆ど消えてしまっており、CPUスコアーはi7-4770K >>> i7-2600K = FX-9590と言ったスコアーとなってしまっている。

同社が出しているグラフィック内臓のAPU「A10-6800K」とのパフォーマンス差は約3倍となっており、CPU性能に重点を置く方はやはりA10-6800KよりもAMD FX系のCPUを購入したほうが良いだろう。

 

 

 

 

3DMark Vantage Extreme

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3DMark Vantage Extreme スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays

amd_fx-9590_gtx650_vantage_extreme

 

FX-9590 4.7GHz
GTX650
i7-4770K 3.4GHz
HD7770
i7-2600K 3.4GHz
GTX560Ti
Phenom II X6 1090T 3.2GHz
HD5970
A10-6800K 4.1GHz
HD8670D
Score 6131 7090 9473 12712 2355
Graphics 5900 6814 9167 12562 2267
CPU 23932 30836 25878 16454 8968
URL URL URL URL URL URL

※CPUスコアー順

 

こちらもVantage Perfomance同様に、3DMark06で見られたFX-9590の優位性は無く、CPUスコアーはi7-4770K >>> i7-2600K = FX-9590と言ったスコアーとなってしまっている。

Vantage ExtremeはプロファイルがExtremeとなったことにより、GPU負荷が上昇したのがVantage Extremeとなるため、3DMark Vantage系ではAMD FX-9590の性能はフルに発揮できていない可能性がある

 

 

 

 

3DMark11

3DMark11 スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays

amd_fx-9590_gtx650_3dmark11

 

FX-9590 4.7GHz
GTX650
i7-3930K 2.2GHz
GTX580 SoC
i7-4770K 3.5GHz
HD 7770 1GB
i7-2600K 3.4GHz
GTX480
A10-6800K 4.1GHz
HD8670D
Score 2996 7536 4286 5627 1454
Graphics Score 2748 6899 3880 5334 1324
Physics Score 7892 14147 10160 7640 3694
Combined Score 2393 7474 3964 5728 1240
URL URL URL URL URL URL

※Physics Score (CPU)スコアー順

 

3DMark 11はCPUスコアーがPhysics Scoreとなっているため、Physics Scoreを中心に見て頂きたい。

スペックが近いCPUの性能順に並べるとi7-3930K >> i7-4770K >> FX-9590 >> i7-2600K >> A10-6800Kとなった。

3DMark Vantage Perfomance/Extremeと近い性能順となっており、やはりAMD FX-9590はCore i7-2600Kとほぼ同じ性能、それ以上に近いのかもしれない

 

 

 

 

Cinebench R11.5

Cinebench R11.5 スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays

amd_fx-9590_cinebenchr11.5_cpu amd_fx-9590_cinebenchr11.5_opengl

左:OpenGL Score
右:CPU Score

 

FX-9590 4.7GHz
GTX650
i7-3960X 3.3GHx
GTX670 2GB Mini
i7-2600K 3.4GHz
GTX560Ti
Phenom II X6 1090T 3.2GHz A10-6800K 4.1GHz
HD8670D
OpenGL
(FPS)
58.7 48.85 58.7 61.9 33.96
CPU
(pts)
7.87 10.35 7.87 4.37 2.64
URL URL URL URL URL URL

※CPUスコアー順

 

Cinebench R11.5は既にR15が配布されている為、配布が終了しているが過去の検証データを持ち合わせているため敢えて検証した。

Cinebench R11.5/R15はOpenGL (GPU)とCPUスコアを検証できるベンチのため、今回はCPUスコアーを中心に見て頂きたい

 

CPUスコアー順にするとi7-3960X >> FX-9590 = 2600K >> Phenom II X6 1090T >> A10-6800Kとなっており、ほぼコア、スレッド数の多い順に並ぶ結果となった。

 

 

 

 

Cinebench R15

Cinebench R15 スコアー一覧 – Re;con-ReviewDays

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左:OpenGL Score
右:CPU Score

 

FX-9590 4.7GHz
GTX650
i7-3960X 3.3GHz
GTX670 2GB Mini
Alienware M17x R4
i7-3840QM 2.8GHz/GTX680M 2GB
MSI GE40 2OC-012JP
i7-4702MQ 2.2GHz GTX760M
OpenGL
(FPS)
75.25 107.33 91.33 0
CPU
(cb)
720 901 636 536
URL URL URL URL URL

 

Cinebench R15が登場したばかりのため比較検証するデータが少なく、実質4種の比較となる

またその内2種類がノートPC向けのCPUとなっている部分はご了承願いたい。

 

比較データーが少なく、明確なスコアー比較は難しいがi7-3960X >> FX-9590 >> i7-3840QM >> i7-4702MQと言った結果となった。

 

 

 

 

OCCT Power Supply Test CPU温度

OCCT – ocbase.com

amd_fx_9590_4.7ghz_occt_4.4

OCCT 4.4.0を使用し、OCCT Power Supply Testを実行しCPUの温度を検証した。

ソフトウェア読みとなるため、大幅な誤差が生じている可能性があることをご了承いただきたい。

CPU0とCPU1の温度データが取れており、以下の様な結果となった。

 

アイドル時 負荷時
CPU0 約27度 約33度
CPU1 約24度 約54度
CPU2 約2度 約47度

※室温22.1度で検証

 

CPU0の温度はアイドル時、約27度、負荷時でも約33度という結果は明らかにおかしいと思われるので割愛。

CPU1の温度はアイドル時約18度負荷時約49度となっており信憑性はさておき、それらしい数字は取ることが出来た。

CPU2の温度はアイドル時、約2度、負荷時でも約47度となっており、明らかにアイドル時の温度が低すぎるのでこちらも割愛。

 

CPU温度に関してはマザーボードやCPU内のセンサー、ソフトウェアによって大きな誤差が生まれてしまうため正常な値を取ることが難しいが、1つ言えることは「TDP 220Wという割には冷たかった」ということだ。

 

OCCT Linpackを回している時にCPUクーラーのフィンの部分やベース部分に触れたが、触れないほどの熱さではなく、長時間触っていても熱いと感じることはなかった。

DSC05673

しかしマザーボードのVRM部分がかなり発熱しており、赤外線温度計で73度を超える温度になっていたため、マザーボードのVRM部分の冷却には気をつけるべきだ

 

AMDのCPUはTDPの数値が高くともそれ以下の発熱であることが非常に多く、FX-9590も220Wと言われていたが、体感的には140W程度なのでは?と感じた。

 

 

 

 

消費電力

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OCCT – ocbase.com

消費電力の計測にはOCCT 4.4.0のLinpackを使用し、計測機器はwatts up? Proを用いた。

 

消費電力
アイドル時 75W
負荷時 293W

 

AMD FX-9590定格にGeForce GTX650 1GBを取り付け検証した。

TDP 220Wと言われていた割には「拍子抜けする消費電力の低さ」で、負荷時でも300Wを超えることがなかった

 

古い記事とはなるが、約5年前に書いた記事ではPhenom II X3 720 BE + Radeon HD 4870 X2を使用時最大371WGTX280で最大320Wという数字になっており、今回の結果はそれを下回る結果だ。

 

またアイドル時の消費電力の低さも特徴で、Phenom II X3 720 BE + 785Gと組み合わせた時のアイドル時は80Wとなっており、FX-9590 + GTX6501GBで75Wとなっているのは驚きである

 

 

 

 

結論

・CPUスコアーはCore i7-2600K並

3DMark06、Cinebench R11.5/R15ではほぼトップとなるスコアーをマークしたものの、比較的新しい3DMark系のベンチマークではCPUスコアーがCore i7-2600K並ということが判明した。

マルチスレッドに最適化されているアプリケーション類を利用するならばFX-9590の8コア、4.7GHzというパフォーマンスは生かされるが、対応していないアプリケーションでは2600K並であることに注意して欲しい。

 

・想像以上にCPUは冷たい、しかしマザーボードのVRMの冷却に注意

TDP 220Wという数字に少々覚えていたが、実際負荷を掛けてみると想像以上にCPUは冷たく、TDP的には140W程度なのでは?と感じた。

しかし、負荷時にマザーボードのVRMが異常に発熱し、GA-990FXA-UD5 Rev3.0のVRMが約70度を超えていたことには驚いた

CPUを重点的に冷やすのではなく、VRMを重点的に冷やしたほうが良いだろう。

 

・アイドル時の消費電力は低く、負荷時もそこまで高くない

OCCT Linpackにて30分間負荷を掛け検証したが、アイドル時75W負荷時293Wという「大したことのない数値」となった。

TDP 220Wと言われていたが、発熱も少なく消費電力も想像以上に低かったため、ある意味期待はずれだった

TDP 220Wだから~と言って身構える必要は一切無いだろう。

 

・マザーボード、CPUクーラー選びは慎重に

AMD FX-9590は国内販売が正式に行われておらず、現状某社が並行輸入を行い、それを各店で販売している状態だ。

そのせいもあってか、国内では990FXを搭載するハイエンドマザーの一部のモデルの取り扱いがなく、FX-9590の正常動作を謳うマザーボードは少ない。

今回筆者が利用したGA-990FXA-UD5 Rev3.0はベータBIOSでFX-9590に対応している状態で、正式対応ではない

また、FX-9590で利用する場合はCPU周りのヒートシンクがしっかりしており、風を当てられるようなCPUクーラーなどを選ぶ必要もあるため、玄人向けだといえるだろう。

 

 

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